第6章 USJ
「痛……」
エマの腹時計では、既に半刻ほど経過している気がする。
飯田くんの速力ならもう、、
エマは、カチャカチャとポーチを漁る。
尾白に渡したものと同じ容器が見える。
「うーん、ちょっと厳しめ」
容器の中身は、ほぼ空であった。
一方、エマの仕込んだ筋弛緩薬により立ち上がることの出来なくなった死柄木。片膝をつきながらエマをじっと観察していた。
あれは個性か?
押され気味とはいえ、オールマイト並みのパワーの脳無とぶつかり合える能力。それにさっきから脳無に折られているように見える腕や足が、次の瞬間には治っている…。
だが一方で、最初の頃は治っていた細かい切り傷や打撲を、今は放置している。もっと言えば、今の今まで受けていた脳無の攻撃を回避することが増えた。
「…成程な。脳無、イレイザーヘッドを殺せ‼︎」
「っ、そうきたか!」
脳無は死柄木の指示により、エマに殴りかかっていた巨岩のような拳を止め、ダンッと土埃を立ててイレイザーヘッド───相澤先生の元へ。
バキッ!
脳無の方が早かった。
相澤先生を覆っていた青白色のドームは、脳無のたった一撃で粉々に砕けた。
これは不味い、間に合って…‼︎
「チェックメイトだ、癒守エマ‼︎」