• テキストサイズ

【ヒロアカ】19Hzの瞳孔

第5章 いいぞガンバレ飯田くん!


その、酷く不安を煽る音が鳴ったすぐ、食堂は混沌と化した。

「この音なんなの⁈」

耳郎のその問いに応えるように、放送がかかった。

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい』


「セキュリティ3ってなんのことだよ‼︎」

「君たち1年生か⁈校舎内に誰か侵入したってことだ、3年でこんなの初めてだよ。君らも避難したまえ‼︎」

その3年生の台詞と同時に、弾かれたように周りの1年生も非常口に殺到した。



と、少なくともそう見えただろう。

彼、1年C組普通科の心操人使も、他の生徒同様、非常口を目指していた。

が、ふと視界の隅、もう生徒はとっくに逃げたはずのテーブルに人が見えた気がした。

「はーー」

逃げ遅れたのか、と一瞬思ったが多分違う。

雪みたいな白銀の髪に睫毛まで白い。少し上げた顔ーー悲しくなるくらい深い青の目と、合った。

「アンタ、何して」

「?…ご飯」

「警報聞いてなかったのか⁈早く避難しないと…‼︎」

なんでそんなことを言うのか、と言わんばかりに疑問符を浮かべた表情でこちらを見つめる女子。そんな表情をしたいのはこっちだ!

「ああもう、なんで…、アンタ名前は⁈」

「私は癒守エマーー」

エマの記憶は、そこで一度途切れている。



トンッ、と肩を叩かれた衝撃でエマは自分がどこにいるのか自覚した。

避難していた生徒たちの喧騒、その中である。

「あら…」

「アンタ、大丈夫なのか⁈」

「成程、君が…」

「勝手に悪い。いや俺が謝るのも…てかアンタ、なんで逃げなかったんだ⁈」


心操は散々だった。

何故か逃げずに食事を続けていた、この目の前の…なんと名乗ったか、癒守エマに自身の個性を使い、非常口まで揉みくちゃにされながら守っていた。

本当に、ヒーローに憧れてから、ロクなことがない…


「侵入したのはマスコミだからだよ。」

「え…」

「だから逃げる必要はないし、仮に手引きしたのがヴィランで雄英を襲撃しようとしてたとして、真っ先に狙われるのはこの人混み。」

心操は、頭を抱えたくなった。
そして自分を真っ直ぐ見つめる蒼い目がどこか気まずくなって、思わず逸らした。


/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp