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【ヒロアカ】19Hzの瞳孔

第5章 いいぞガンバレ飯田くん!


そして昼。

「癒守っ」

「ん?」

彼女に話しかけたのは上鳴電気、その人だった。
彼は今から薔薇でも渡してプロポーズするのかと思うくらい、ガチガチに緊張で震えていた。

「俺と、お昼一緒にどーですか‼︎」

癒守は少し驚いたように一瞬、目を丸くした。
暫くして、唇に人差し指をあてて何か考えた後、上鳴を真っ直ぐ見つめてこう言った。

「是非。」

教室は、水を打ったように静かになった。



ーー食堂にて。

「なんでお前らもいるんだよ…‼︎」

上鳴は一転、数分前の勇気を振り絞った自分が惨めに感じていた。過去の自分に教えてあげたい、そんな努力してもこのクラスメートのおかげで水の泡だぞと。

「ウチらもエマと話してみたかったし」

「俺も一緒に食うやついないからよ、一緒に食おうぜ上鳴!」

耳郎と切島だった。

「ひとが多い方が楽しい、ね?」

とエマと目があった。
そして上鳴は何も言えなくなった。



「へえ、じゃあエマは自分に入れなかったんだ」

と、耳郎は日替わりの竜田揚げ定食を食べながら言った。
話題は、先程行われた学級委員長の投票である。

「うん、そういうの苦手でね」

「じゃあ誰に入れたんだ?」

「…飯田くんだよ。」

「あの1票は癒守だったんだな」

納得したようにウンウンと頷く切島が食べているのは、食べ盛りの男子高校生すら降参すると噂の、超絶ボリューム・漢のつゆだくカツ丼である。

「俺に入れてくれたら…!」

「あの中で上鳴には入れないしょ。でもなんで?」

「うーん…」

何故か、上鳴が箸で突いてる塩ラーメンのメンマを見ながらエマは返答に悩んだ。

「正しい人だから、かな」

「なんだそれ?」

「あのままじゃ決まらなかったもの。自分のやりたいという欲とは別に、誰かがある程度の公平さを担保した決め方を提案して、実行しなきゃいけなかった」

エマの脳裏には、投票を提案しながらも手をピンっと伸ばしていた飯田の姿がある。

「だからーー」


ウウーーー‼︎‼︎


エマの言葉を遮るように、けたたましい音が響いた。


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