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【ヒロアカ】19Hzの瞳孔

第4章 個性把握テスト、戦闘訓練


緑谷の不安や焦燥の一方、容赦なく体力把握テストの種目は続けられた。

立ち幅跳び、反復横跳び、ボール投げーー…。


ボール投げでは、入試で出会った麗日さんが”∞”の記録を叩き出していた。


「お茶子ちゃんは、物理法則に干渉するタイプの個性?」

「秘密!」

「真似されちゃった」

エマちゃんと麗日さんが微笑ましい会話をしているが、それを和やかな気持ちで見ることは最早、出来なかった。


「ダメだこれ!すぐ出来るような簡単な話じゃない!」

皆…一つは大記録を出してるのに…‼︎

残りは持久走、上体起こし、長座体前屈…もう後がない…‼︎
このままだと…僕が最下位ーー…。



「緑谷くんは、このままだとマズいぞ…?」

「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」

「無個性⁉︎彼が入試時に何を成したのか知らんのか⁉︎」

「は?」

エマはその会話に入らず、じっと緑谷を見つめながら聞いていた。


ーーー
「そろそろか…」


一大決心。それだったと思う。

追い詰められ、ついにあの”個性”に頼った。

「出久、超カッコイイよ」
「君は、ヒーローになれる」

「ーーいずくんは、きっと成功する」

自分の背中を押してくれた人たちの言葉に、応えたかった。



入試の時に感じた、腕に力が収束していく感覚ーー。

「絶対なるんだ‼︎」

そのまま腕を振り抜いた。



…が、ポトッと期待より力のない音でボールが落ちた。


「46m」

「な…今確かに使おうって…」

「”個性”を消した」

低い声で相澤先生がそう言った。
彼の髪が重力に逆らって、ゆらゆら蠢いている。


「つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学出来てしまう」

「消した…‼︎あのゴーグル…そうか…!」


ヒーローオタク、緑谷だから知っていた。

「視ただけで人の個性を抹消する個性‼︎ーー抹消ヒーロー・イレイザーヘッド‼︎」


彼は「仕事に差し支える」とメディアへの露出を嫌っている、アングラ系ヒーロー。



「地雷、2度目ってところかな」



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