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おとぎ話の続きを聞かせて【イケメン戦国】

第6章 帰蝶の企み



「紗彩?」

帰蝶はそんな私に訝しげな顔を見せる。

「城内に、帰蝶の間者を忍び込ませてるの?」

「そうだ。城内の様子やあの男とお前の様子を報告させている」

「そう………」

それは、私が信長様とどんな関係にあるのかと言う事も全て帰蝶に筒抜けだと言う事だ。

身を差し出したとは言え、報告されているほど密に知られていた事に少なからずショックを受けた。


「間者がいるなら、私はもう…あそこにいる必要はないよね……?」

「…………」

私の問いかけに、帰蝶は何も言わずに鋭い目で私を見据える。


「そろそろ教えて?帰蝶は歴史を変えてまで何をしたいの?その事と信長様の命を助けたことに、どんな関係があるの?」

落ち着いて言葉を伝えられるように、胸に手を当てながら疑問を口にした。


「それは前にも話したはずだ。あの男を本能寺で助けたのは、あの男を生かし天下布武の道へと邁進させるためだと…」

私と違って、帰蝶は涼しげな顔で私の質問に答える。

「でも…でもその道は帰蝶が途中で阻もうとしてるんでしょ?なんでそんな矛盾した事を…」

邁進させるって言っておいて邪魔をしようとする意味が分からない。


「あの男の行く所…戦が起き世が乱れる。その戦の火種としてまだ奴を生かしておく必要があったからだ」

「戦の火種って…、そんな理由のために信長様を助けたの?」

「そうだ」

「……っ、本気なの?その為に関係のない人が巻き込まれて傷ついてるのに?」

「お前を怪我させた針子のことを言っているのか?」

私にそう聞いた帰蝶はふっと口元を緩めた。


「帰蝶……?」

「あれこそ、お前をあの男の元に行かせた本当の目的だ」

「どう言う意味?」

「お前は、あの男にとって初めての誤算だ」

「誤算……?」

「女に興味を抱き、ましてや心を奪われるなど…あの男の予定にはなかった事がその身に起こった。城内はそれにより起きるはずのない騒動が起き乱れ、針子の事件を引き起こした」

「あの事件も…想定内だって言ってるの?」
(そんな事を本気で………?)


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