第4章 嫉妬と仇討ち
「………え?……おて…うち……?」
お手討ちって…、斬り殺したってこと……!?
「っ、うそ…でしょ……っ!」
「嘘ではございませんっ!紗彩様の悪口を言った者や意地悪を働いた者たちは皆、次は自分が処罰される番だと恐れております。今までの事は謝ります。ですからどうか命だけはお助け下さいっ!」
「……っ、」
他の針子たちも一斉に謝罪の言葉を口にして何度も頭を下げていたけど、それどころではなかった。
だって、私のせいで人が死んでしまった……?
意地悪はされた。されたけど…こんな結果を望んでいたわけじゃないっ!
「っ、信長様に聞いて来ます」
「紗彩様っ!」
胸が嫌な音でずっと鼓動を刻んでる。
なぜ殺したの?
何に腹を立てたの?
それともこれが普通なのっ!?
廊下ですれ違った家臣に信長様の居場所を聞けば、城下に視察に出かける所だと言う。
「信長様っ!」
大手門の前で、馬に乗ろうとしている信長様を発見し、大声で叫んだ。
「……紗彩………?」
「紗彩、悪いが信長様はこれから視察へと…」
「秀吉、良い、……紗彩、如何した?」
隣に控えていた秀吉さんを手で制し、信長様は私を真っ直ぐに見据えた。
「っ、あの…針子頭の事で…、彼女をお手打ちにしたと言うのは本当でしょうか……?」
声が震える。
お願い、違うと言って……!
「そうだ。それがどうした?」
願いは一瞬で砕け散った。
「どうしたって……、なぜ、そんなこと……」
「俺のものを傷つけたからだ」
「俺のものって…私なんかのために彼女を殺したんですかっ!」
「紗彩お前信長様になんてこと…」
「秀吉だまれっ!」
信長様は鋭い声で秀吉さんの言葉を遮った。
「っ、…はっ!」
秀吉さんは苦虫を噛み潰したような顔で頭を下げ一歩下がった。