第4章 嫉妬と仇討ち
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「………」
目覚めれば、天主の信長様の部屋の豪華絢爛な天井が目に入って来た……
「……あれ?私………」
信長様に抱かれた記憶がないのに、どうしてここに……?
布団の中を確認すれば、寝巻きをちゃんと着ている。
「………?」
不思議に思い体を起こした。
「いっ、……っう………!」
頭に激痛が走り手を当てると包帯が巻いてある。
「え、……何で?」
「起きたの……?」
襖が開いて信長様ではなく家康が入って来た。
「家康……?」
「ああ..触らないで、今包帯取り替えるから」
新しい包帯セットを横に置いて、家康は私の頭の包帯を解き始めた。
「私…怪我したの?」
「覚えてないの?あんた庭の池に落ちた時に縁石に頭ぶつけて倒れたんだよ」
「池に……あっ、羽織っ!羽織はっ!」
池に落ちたって事は羽織も…!?
「羽織は無事だ」
今度は秀吉さんが部屋へと入って来て羽織を見せてくれた。
「あ、羽織…良かった、無事だったんだ」
「お前が池に落ちる時、お前羽織だけ投げたんだ。だから安心しろ。土はついたが綺麗に払って元通りだ」
「っ、良かった。ありがとうございます」
これで、まだ帰蝶に会う事ができる。
「俺は大きな誤解をしていた」
「え?」
「仕事の原因はお前にあった訳じゃなかったんだな。こんな目にあうまで気付いてやれなくて悪かった。信長様の羽織を必死で守ろうとするお前を見て反省した。許してくれ」
秀吉さんはそう言って頭を下げた。
……違う、ううん、違わないけど…でも違う…
「秀吉さん、頭を上げてください。仕事先の事は、全て私の責任ですから…」
針子頭のあの言葉と顔が忘れられない。
私が信長様のそばにいる理由は余りにも不純で、そしてこの羽織を縫った理由も自分勝手な理由だ。
嫌がらせを受けた原因は私にあるって、今更ながらに気がついてしまった。