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おとぎ話の続きを聞かせて【イケメン戦国】

第4章 嫉妬と仇討ち



「分かりました」

漆の箱を自分の方に寄せ反物を手に取ろうとすると、

「織田軍と朝廷とを繋ぐ大切な反物だ。くれぐれも粗相のないようにしっかりと仕立ててくれ」

ちゃんとしろよ!と念を押された。

「はい。頑張ります」

頭を深く下げると、秀吉さんは部屋を先に出て行った。


預かった反物を手に持って部屋を出ると、案の定女中達が待ち構えていて、今度は秀吉さんを部屋に連れ込んだと陰口を叩く。


こんな状況で教えを乞う事が出来るんだろうか?

「はぁ、気が重い…」


そんな私の不安は的中する事になる。

けど、この反物がきっかけで大きな悲劇を生むことになるとまでは思っていなかった。






・・・・・・・・・・

針子部屋へと戻り、秀吉さんより預かった反物を見せ事情を説明すると、渋りつつも朝廷の権威には逆らえないのか、作り方の書いてある書物を渡された。


「思ったよりもちゃんとしてる…」


縫製の仕方がちゃんと書かれてあるその書物を見れば、時間はかかるけど何とか作れそうだった。


「でも、採寸はやっぱり必要だよね…」

いつも私が仕立てる着物は、城勤の方達の作業着としての着物が殆どで無地なため、寸法もSMLのスリーサイズで作ればいい簡単なものだったのに対し、今回はちゃんと柄が有るべき所に現れる様に仕立てなければならない為、その人の体のサイズを測る必要があった。


あまり夜以外会いたくはないけど仕方がない…


サイズを測る用具一式を手に、私は天主の信長様の部屋へと向かった。




天主に行くと信長様と光秀さんが何かを話している最中だった。

「あ、すみません。出直します」

頭を下げて行こうとすると、


「紗彩待て!」

信長様が私を呼び止めた。

「光秀…」

「はっ!」

信長様のその一言で光秀さんは察したように頭を下げて部屋から出た。

「光秀さん、お話中にごめんなさい」

「気にするな。それより大丈夫か?」

「え?」

「いや、何でもない」

光秀さんはそれ以上は何も言わず、歩き去って行った。




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