第13章 目覚めさせる方法
かつては織田の者として同じ方向を向き共に天下泰平の世を目指した者であったが………
「それ程に乱世を望むか」
愛する者すらその目的のために傷つけることを厭わぬ奴に話し合う余地はない。
「慶次に伝えよ!大筒など恐るるに足らず、そのまま攻め入れとっ!」
「はっ!」
ここで織田が帰蝶に負けるは紗彩の死を意味する。
(紗彩の命も帰蝶の野望も、何一つとして思い通りにはさせん)
「皆の者、慶次の後に続け!これより総攻撃を仕掛けるっ!」
《おおっーーーーーーっ!!》
名ばかりで力のない将軍など、はなから必要ない。
乱世に逆戻りさせようとしている帰蝶の目論見を潰し、同時に毛利元就も叩き潰して天下を統一する。
「そして紗彩を目覚めさせるっ!」
・・・・・
京の町を巻き込むかと思われた戦いは、織田軍の圧倒的な攻撃の下、半日とたたぬうちに終結。
毛利元就は自らの兵を率いて逃げ出し、帰蝶は一旦は捕まえたものの隙をつき脱走し行方をくらました。
首謀者であり、世を乱す元凶となる足利義昭の身柄は拘束し、以前同様、厳重に鞆の浦へと幽閉する事で争いは終息した。
毛利と足利将軍という後ろ盾を失った西方の国々は織田の勢力に敵うはずもなく次々と織田に下り、長く続いた西との戦に一旦終止符を打ち、天下統一への駒を一気に進めた。