第12章 愛しき者の正体
紗彩の夜着を開いて奴の形のいい胸に手を当てる。
「……んっ、」
「貴様は俺のものだ。誰にも渡さん」
口から出るのは奴を縛り付ける言葉ばかりだが、紗彩はそんな俺の口づけを受け止めそれに応える。
(貴様が…愛おしくてたまらない)
「っぁ、」
触れれば奴の甘い吐息が漏れる。
「ふっぁっ、ぁっ」
いつも以上の反応をする紗彩に己の熱もどんどん上げられて行く。
口づけを拒まなくなった紗彩との情事は想像以上の甘さで俺を夢中にさせ、奴の体も今まで以上に熱くしっとりと俺に吸い付いてくる。
「解す必要がないほどにとろとろだな」
俺によってどれだけ濡れているかを見せつけるため濡れた指を奴に見せつける様に舐めれば、
「っ、言わないで下さい」
奴は顔を赤くして恥じらいを見せる。
(可愛すぎるのも考えものだな…)
意地悪をしてやるつもりが逆に煽られる形となり、我慢は途端に効かなくなった。
「紗彩挿れるぞ」
羞恥で赤く染まる奴の耳元で囁くと、奴は恥じらいながらも頷き俺を受け入れた。
久しぶりに抱いたからなのか、もしくは僅かしか口にしなかった酒が何らかの効果を奴の体にもたらしたからなのか…
紗彩の体はこれまでに無いほど淫らに濡れ開き、そんな奴を俺は夢中で喰らった。
そして…
「紗彩、愛してる」
「え?」
「貴様を愛してる」
「っ………」
気がつけば、そんな言葉が自然と口から出ていた。
「信長様………」
紗彩は大きく目を見開き、様々な感情をその瞳に溜めたまま泣きそうな顔で俺に口づけ、俺の気持ちに答えることはなかった。
だがそれで構わない。
俺を見つめ口づけるだけで何よりも大切にすると、俺は眠る奴の唇に口づけた時に思ったのだから……
紗彩はその夜、俺の腕の中で眠りにつき、そのまま目を覚まさなくなった。