第11章 別れの準備
「……っ、ふぁ、ぁん」
思考が霞がかり、自分の声ではない甘い声が漏れた。
「ふっ、そんな愛らしい声も出るのか?」
いつもとは違う声に信長様は反応して目を細める。
「っ、言わないでください。っん、」
反論しようとすると、大きな手が頬を包み込み、情熱的な口づけをする。
「ふっ、あっ、ん、ん、」
「紗彩」
「ん、ぁっ、もうこれ以上は…ダメっ、怖い………」
「快楽に身を委ねることを怖がるな。初めては全て寄越せと言ったはずだ」
「っ……、ふぁっ、あっ、信長様っ」
こんなグズグスに蕩けるほどの感覚は初めてだ。
いつもとは違う、全てを上げられているような感覚に、体は淫らな音を立てて反応し、頭はずっと霞がかって、正常な思考を邪魔してくる。
こんな快楽に一度でも身を委ねてしまったら、もう引き返せない気がして怖いけど、それが信長様の言う初めてになるのなら、このまま委ねて、私の初めてをもらって欲しい。
だって、信長様に抱かれても、もう幸せな気持ちしか残ってない。
「はっ、ぁ、あ、信長様ぁっ、」
信長様にしがみついて襲い来る快楽に身を委ねた。
「良い反応だ」
しがみついた私の額に信長様は口づけを落とし、私の体を大きく揺さぶり始めた。
「ああっっ!」
でもね信長様、私にとって信長様が初めてって事、実はたくさんあるんです。
「っ、紗彩」
当たり前だけど、甲冑の着付けや取り外しをしたのも、羽織を縫ったのも信長様が初めてで、
「やっあ、あっ、もう、ダメ………っ」
私の傷痕を綺麗だと言ってくれたのも信長様が初めてでした。
「っ、………俺も共にいかせろっ」
「ふぁっ、ああっ……っ——————!」
目の前が真っ白に染まり何かが弾けると、体内で信長様の熱が弾けたのが分かった。