第11章 別れの準備

「解す必要がないほどにとろとろだな」

濡れた指をペロッと舐めて、信長様は意地悪な笑みを浮かべる。

「っ、言わないで下さい」

いつも以上に濡れている事も、感じてしまっていることも、私が一番よく分かってる。

でも、信長様に触れられるだけで、ぞくぞくと体が震えてしまう。


「紗彩挿れるぞ」

低く掠れた声が耳元で聞こえ、コクンと頷くと信長様の熱を体の中に感じた。

硬くて熱いモノが私の中をこじ開けて入ってくる。

「んっ、……ぁっ、」

こじ開けられて行くたびに内壁が擦られ、恥ずかしい声が漏れた。

「… っ、力を抜け、」

「っ、…ぁ、……」

(力なんて…もう中が熱くて一杯で、出来ない)

声にならない快楽の中、力を抜けない私は、涙目でフルフルと頭を横に振って無理だと伝える。

「何だそれは…、貴様はまこと……っ」

「え？……ぁ、っん、」

困った笑いを浮かべた信長様は、私の両手を掴んで絨毯に沈め、噛み付く様な口づけをした。

「んぅ……ぁっ、……っ、」

信長様は私に口づけながら腰を動かし緩やかな注挿を始める。

「……んっ」

「っは、紗彩」

艶のかかった声が私の名を呼ぶたびに子宮が甘く疼き、絡め合う指をキツく握ることでその甘さに耐えた。

信長様に抱かれて悦楽を感じる自分を、ずっと嫌悪して来た。
帰蝶を、そして帰蝶を好きな自分自身を裏切っている気がしていたから…


「あっ、ん、信長様——」

信長様を思う気持ちが変わり始めてからは、今度は罪悪感に駆られるようになった。
嘘をついて騙しているのに、大切に扱われている事への罪悪感に……


「紗彩、どこが良い？」

「……分かんないっ、ぁっ、」

探るような動きで信長様は私にどこが良いのかを聞いてくるけど、

「あっ、待って、信長様、止まってっ」

お酒の効果だろうか？今夜はどこを突かれても頭がクラクラする。