第2章 出会い
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「帰蝶と一緒ならって…私言ったんだけどな…」
湯殿で体を洗いながら、帰蝶と一緒ではない戦国時代での現状をごちる。
「ううん、月一回とはいえわざわざ堺から会いに来てくれるんだから、文句は言わない」
一通り体を洗い、消したくなかった帰蝶の匂いがついていない事を確認した。
「消えちゃった…」
仕方がないと思いながら感傷に浸っていると、湯殿の扉が開いた。
「……っ、信長様っ!」
一糸纏わぬ姿の信長様が湯殿へと入って来た。
「何を驚いておる?」
「急に扉が開けば、驚きます」
「洗い終わったか?」
「はい」
「では来い」
私の手を掴んで信長様は湯船に向かった。
「お体、洗わなくてよかったのですか?」
「後でいい」
湯船の中、信長様の膝の上に座らせた私を後ろから抱きしめ、背中に唇を押し当てた。
「………っ」
ピクンと肩が跳ねる。
「まだ、何も思い出さぬのか?」
「……はい」
「そうか……」
私の背中には大きな火傷の跡があり、それ以外にも小さな跡が身体中にある。
どの傷跡も、付いた理由を忘れたことなんてない。
けれど、ここでは私は記憶を失った女を演じている。
「貴様の匂いに戻ったな…」
信長様は私の肩に顔を埋めて満足げな声を漏らす。
胸を掴んだ手はやわやわと感触を楽しむ様に動き出す。
「……っ」
私の体がどうすれば濡れるのかを知り尽くしているもう片方の手の指は、私の中へ入って信長様を迎え入れる準備をしろと刺激する。
「ぁっ、……」
猛々しく私を抱く信長様も、なぜか私の傷跡にはいつも優しく触れるから、自分ですら見るのも悍ましい跡に優しく口づけられると、心はなくとも体はいつも以上に反応してしまい、
「ああ……っ」
声を上げるほどの絶頂に襲われてしまう。
「いい反応だ」
気を良くした信長様は私の首に痕を一つ落とすと、私の体を反転させて向かい合わせた。