第10章 真っ白なページ
(今…好きって言ったよね?)
信じられない気持ちと、告白された?って言う気持ちと、嬉しいようなどうしようと思うような、様々な気持ちが入り混じる中、信長様と視線を絡めると、
「貴様の髪…絹のような手触りで柔らかで好きだ」
コント?のようなオチが……
「……あ、髪、髪のこと…ですよね。…っありがとうございます」
好きは好きでも私の髪が好きだと言う告白に、またもや感情は揺さぶられる。
「ふっ、どうした?落胆したような顔をしておるが、俺が、何を好きだと言ったと思った?」
私の動揺を見抜いた信長様は、揶揄うように笑いながら私の横髪に手を入れて私の顔を引き寄せた。
「べ、別に…思い当たるものは何も……」
本当は、告白されたのかと思ったなんてこと言えるわけもなく、間近に迫る綺麗な顔から私はまた視線を逸らした。
「貴様はまことに愛らしいな」
甘い言葉と優しい口づけ。
「っ……ん」
信長様は身を起こし、私の背中に片腕を回して口づけを深いものへと変えていく。
「んっ、………ん、」
髪の毛越しに感じる信長様の手も、重なり合っている唇も舌も熱くて、思考が溶けて行く。
「…っ、…ふっぁ、………はっ、」
初めて信長様とキスをしたあの日から、もう何回したのか分からない。
「んっ、」
あれほどに拒んでいたことが嘘のように、視線が絡めば引き寄せられるようにキスをしている。
『表情が柔らかくなった。信長様の事が好きだって顔に書いてある』
政宗に急に指摘をされてさっきは焦ったけど、間違ってはいない。
好きじゃなければこんな風に口づけあったりなんかしない。
でも私には、この気持ちを伝える資格と勇気の両方がないから、
「ん、………」
言葉では伝えられない思いをこの口づけに乗せて伝えることだけは許して欲しい。
「んっ、ふぁっ……」
力が抜けかけたところで信長様はふっと笑って私を抱きしめた。
「これ以上はやめられなくなりそうだな。今夜、貴様の体調が悪くなければ続きをする」
「……っ、はい」
かぁぁっ、と熱くなった私の体を再び抱きしめて、信長様は私の額に仕上げの口づけをした。
怖くなってしまう程に甘くて幸せな日々。
けれども幸せな時は長くは続かない事を私が一番知っている。
だって、いつだってそうだったから………