第10章 真っ白なページ
「分かりました」
こんなに心配をされた事も、大切にされたこともない。
全身全霊で私を思ってくれる信長様に、私は一体何を返す事ができるんだろう…….
信長様の視線に耐えながら何とかお粥を完食し、そのまま縁側でお茶を飲む事になった。
「信長様は、お疲れではないですか?」
まだ各地の反乱は収まっていない。
そんな中、私の体調不良で迷惑をかけていて疲れていないわけはない。
「いや、貴様の元気な顔を見たら疲れも吹き飛んだ。もう少し休んだら軍議へ戻る」
信長様はグイッとお茶を飲み干し、空になった椀を板の間に置いた。
(そうは言っても疲れてるよね?)
私が喜ぶ言葉ばかりをくれる信長様に私ができる事はと考えていると、一つのアイデアが浮かんだ。
「信長様、あの…良かったらここに…」
私もお茶を飲み干して空の椀を信長様の置いた椀の横に置くと、正座をして膝をポンっと手で軽く叩いた。
「はっ?」
聞こえなかったのか、信長様は私に聞き返す。
「だからその、ここに頭を置いて休んで下さい」
二度も言うのは勇気がいったけど、再び口にして膝を示した。
「っ………」
信長様は固まった様に戸惑った顔を見せる。
(あ、迷惑だったかも……!)
「あっ、あの、気にしないで下さい。
こんなのでくつろげるわけありませんよね……んんっ!」
調子に乗りすぎたとすぐに反省し、訂正の言葉を口にしていると、突然頭の後ろに手が回り、顔を引き寄せられ唇を奪われた。