第4章 全て愛して愛されて
好きな人と一緒にいるのに、何故こんなにも悲しいんだろう。
「っ……」
「かずと、らっ……ん、あぁっ……」
肌を合わせれば合わせる程、その気持ちは大きく膨らんでいくみたいで。
こんな虚しい気持ちになる理由が、全く分からなくて苦しい。
そんな日が続いて、一虎が来なくなって二日程経ったある日。
「……今、何て?」
鎖を外しながら、半間君ガ私の制服をベッドに置く。
「解放だってよー」
「一虎は?」
「んー? さぁーなぁ」
私が着替え終わるまで、ベランダで半間君がタバコを吸っていて、それを確認してから半間君が私のスマホを返してくれた。
メッセージが入っていて、確認すると場地からの心配するメッセージと、一虎からだった。
そこには、この部屋から解放するという言葉と謝罪。後は別れの言葉。
そして最後に“幸せになれ、ずっと愛してる”という、シンプルな言葉だった。
「ほー、愛だねぇー。しかし、泣いてる女ってそそるよなぁ……。あ、そうだ。なぁ、一虎なんかやめて、俺にしとかねぇ?」
腰に半間君の手が回って引き寄せられて、顔が近づく。涙を指で拭われて、そのまま半間君を見る。
「あんたのエロい姿もなかなかだったしなぁ」
「くだらない事言ってないで離して。半間君は私みたいなのタイプじゃないでしょ」
「辛辣だねぇ。けど、抱くだけの女にしとくのはもったいねぇくらいには、あんたは極上だぜ?」
手を離して、半間君は一虎の行きそうな場所を数箇所教えてくれた。
よく分からない人だ。
部屋を出て、久しぶりに浴びる陽の光に目を細める。
「よぉ、だいぶ痩せたんじゃね?」
「場地……」
何故ここに場地がいるんだろう。
「一虎、探しに行くんだろ?」
「うん。半間君に、心当たり教えてもらったから」
「何か出来る事あったら言えよ。一虎を、頼むな」
頭を撫でる場地に、お礼を言って頷いた。
そして私は、教えてもらった場所を走り回るけど、なかなか一虎が見つからなくて、段々不安が広がっていく。
思い詰めると、一虎は思い切った行動に出るから、最悪な思考を怖くなって必死に掻き消す。
「一虎っ、何処にいるの……お願いだから、変な真似はしないで」
願いを掛けるように、そう呟いた。