第3章 嫉妬、執着、重い×想い=愛(オモイアイ)
美男は分かるけど、美女は言い過ぎだ。
私はいまだに、一虎の隣にいるのが私でいいのかと、少しだけ思っていたりする。
「眉間に皺寄ってる。何考えてる? 悪い事?」
「ううん、何でもないよ」
けど、一虎がこうして甘やかしてくれている間は、素直に甘えておこうと思う。
午後までは少しだけまったりしながら、午後からは手を繋いで街へ。
制服だと色々面倒だからと、久しぶりに私が唯一一着だけ持っている、女の子らしい服を出して着た。
その後は一虎の家に寄ってから街へ向かったけど、やっぱり目立つのか、一虎に女の子達の視線が集中していた。
少し面白くない。
それが態度に出ていたのか、一虎が私の顔を覗き込む。
「楽しくない?」
「ううん。一緒にいるだけでも楽しいよ」
そう、つまらないわけじゃないし、不満はない。
せっかくの雰囲気を壊すのも嫌だから、この汚い気持ちは心の奥に仕舞い込む。
欲張りでわがままな自分を、心の中で嘲笑う。
絡めた指に力を込める。
そのまま手を引かれ、近くの石のオブジェのような場所に腰掛ける。
「なぁ、気づいてねぇだろうけどさ。すれ違う奴みんなの事見てんだぞ」
自分だって気づいてないだろうに。
「はぁー……誰にも見られねぇように閉じ込めたい……」
「ふふ、割と物騒な事言うね」
唸りながら呟く一虎が、ふと何か思いついた顔をする。
「俺の匂いがしっかりつくまで、抱き潰すか……」
「っ……変な事、言わないのっ!」
「えー。いい考えだと思わねぇ? 完璧だと思ったんだけど……。やっぱ監禁するしかねぇかなぁ……」
また恐ろしい考えに辿り着く一虎を見ながら、私がそれもいいかもなと思ってしまった事は内緒だ。
いまだに唸る一虎に、私は口を開く。
「そんな事しなくても、私は一虎しか見てないよ。他の人の事まで考える余裕も、器用さも持ってませんから」
言って頭を撫でると、最初は驚いてたものの、嬉しそうにふにゃりと笑い、次にちょっとだけ色っぽい顔になる。
「じゃぁ、からちゅーしてよ。あ、口に、な?」
「こ、ここでっ!?」
なかなかに人が多いこんな場所で、私にそんな辱めを受けろというのか。
「俺からしてもいいけど……」