【IQ2】水を被るとフォーゼになっちゃうふざけた体質な月島
第1章 4月
不思議がる鯉登を置いてごみ捨て場に行く
そこにはぼろぼろになった白い犬がいた
疲れきっているのか、目もしょぼしょぼしてこちらが見えていないようだ
「わっ、かわいー!」
「なんだそのばっちぃのは、捨てておけ」
鯉登を睨みながら犬を拾い上げる
犬はこちらに気付いたようで、目を見開いた
「ムン!ムン!」
「わ、何々?
怖くないよー」
犬は何かを求めるように鳴いた
お腹がすいているのだろうか
「この子連れて帰ろう」
「えっ!?
嫌じゃ!」
「音の意見は知らん
ほら行こ、わんちゃん」
「ムン!ムンムン!」
ブスッとする鯉登と諦めたのか大人しくなった犬と共に家に入る
と言うか、鯉登は文句があるならうちに来なければ良いのに
「まずわんちゃんを洗おうか」
「おい、そんな犬ほっといておいん飯を作らんか!」
「何言ってんの、こんなしょわしょわで可哀想でしょうが」
「~~っ!!」
怒る鯉登を置いて脱衣場に入る
犬は腕をすり抜けて風呂場に入った
「あ、お風呂わかるんだ!
飼われてたんだね」
犬を洗うのに服が邪魔なので、下着の上にブラウスだけになる
「ム!?ムン!」
犬がこちらを見ると、首を振りだした
「え、何?早く洗えって?」
「ムンムン!」
風呂場に入りお湯の線を捻ってお湯を出そうとする
すると犬は慌てたように飛び付いてきて、水の線を捻ってきた
「わっ冷たい!
水が良かったの?」
こくこく、と首を強く縦にふる
賢い犬だなと体を洗ってあげた
「はーい綺麗になりました!
震えてるけど寒くないの?」
「…ムン」
「お湯かけようか?」
「ムンムンムン!」
「そう?
じゃあタオルでふきふきしようねぇ~」
タオルでまふっとくるみ、スカートだけ履いてリビングへ行く
鯉登は勝手に冷蔵庫のビールをあけて飲んでいた
だらりとソファに座りながらテレビを見て、家主のようにくつろいでいる
「終わったか?はよ晩飯作ってくいやい」
「はいはい
この子ドライヤーで乾かしてあげてよ」
「えーなんでおいが」
「その間に特別に唐揚げを揚げましょう」
「…しかたなか」
パチパチ、と油がはねる音がする
ご飯は予約炊きで準備万端だ
「はわわぁ~
可愛すぎるよぉ」
ぼろ雑巾のようだった犬は真っ白ふわふわになった