【IQ2】水を被るとフォーゼになっちゃうふざけた体質な月島
第3章 6月
会社 昼休み食堂
「見合い?」
ご飯が月島特別盛りの日替わり定食を食べながら、月島が鯉登と話していた
今日の日替わりはコロッケだ
米を頬張りながら、見合いという普段の生活ではなかなか聞き馴れない言葉に月島は聞き返した
「そうだ、それも得意先のご令嬢らしくてな
無下にはできんのだ」
「はあ、金持ちも大変ですな
では鯉登さんはご結婚なさるんですか?」
「するつもりはない
ただ、おやっどんもかかどんも、そろそろ孫の顔が見たい歳だと言って見合いには賛成なのだ
兄さあはまだまだ結婚する気は無いと言うし…
まあ、私に心に決めた女性がいるならば断って良いと言われた」
「鯉登さん好い人いたんですか?」
月島の質問に、鯉登が口をもにょもにょさせながら黙る
女の影が見えたことは無かったが、まあ彼も年頃だしな、と納得しながら月島はコロッケを齧った
「でも断れそうで良かったですね」
「いや、それがだなぁ……」
好い人がいれば断れると自分で言っておきながら、難儀そうな顔をする鯉登に月島は疑問符が浮かんだ
「断れなさそうなんですか?」
「いや、断れる
断れるんだが……、かかどんがどうしてもおいん相手を見たいと言うのだ」
「連れていけばよろしいじゃないですか
私は鯉登さんの会社の営業担当をさせて頂いていますが、ご家族はいい方ばかりだと感じています。
お相手の女性も紹介されるのはやぶさかではないと思いますよ」
「まこち!?
……、いや違う、そうじゃない」
家族を褒めると嬉しそうな反応をするが、またすぐに眉間にシワを寄せて何かに悩み始める
その煮え切らない態度に、答えがひとつ浮かんだ
「ああ、相手の方が紹介する程の間柄じゃないんですね」
「そう…だ……、はぁ」
「(つまり、片想いってことか
青春してんな、この人)」
鯉登の耳が赤く染まっている
本気のようだ
こんなエリートが好きになる相手はどんな人だろうか、と気になった
「鯉登さん、好きな人ってもしかして……」
「!」
「俺じゃないですよね?」
「ちご!」
「冗談です」