第3章 *・゚・ゆりかごに甘噛み *・゚*【真島】
稀にネットで就職情報サイトを開いてはみるものの、働くことに関してはあまり前向きとはいえない。
いつのものかも忘れた求人雑誌はコインランドリーのフリーペースに置かれていたものだ。
スマホの充電が切れそうで、時間を潰すのにしかたなく手にしたものを持ち帰った。
あれ以来一度も開いてないうえ、たぶんもう募集期間の終了しているものがほとんどだろう。
しばらく沈黙が流れる。
コンクリートに囲われた部屋は遮音性が高いため、外とは別世界のような静謐な空気ともの寂しさが常に当てもなく彷徨っている。
「···ねえ、もう一回しようよ」
わたしからの誘いに真島は少し驚いた表情でわたしを見た。
「そんなしてぇの?」
面倒だなあ···とでも言わんばかりの顔で頭を掻く真島の前に立つ。
しゃがみこんで、わたしは真島の履く柔らかなスウェットを下着ごと強引に引き下げた。
おい···という声を無視して、まだ元気のない陰茎に触れる。
優しく握るように刺激しながら、少し硬くなったそれを口に含んだ。
「──、」
頭上に微かな吐息が降りかかる。
さきほどのセックスでは射精できずに終わったが、行為には及べたのだから二度目も問題はないはずだ。
わしゃわしゃと頭を撫でる真島の手はあたたかくも冷たくもなかった。大きくて、わたしに触れるときにはほんの少しだけいじわるになる平たい手。
十分に反り立ったそれから口を離すと、熱を含んだ瞳でこしゃくそうに口角を上げた真島がわたしに妖しげな笑みを落とした。
立ち上がり、部屋着のTシャツとショートパンツを脱ぎ捨て、真島の上にまたがる。
「っ、ねえ、今度は、イケ、そう?」
「ハッ、どう、だかな···、ッ、お前次第、なんじゃね?」
どこまでも憎まれ口をたたく真島を快楽に引きずり込んでやりたくて、わたしは真島の上で腰を振った。