第1章 月島軍曹に出会う
「官舎に到着しました」
「支城だから期待してなかったが、なかなか悪くないところだな」
大尉を官舎へとお連れする
官舎につくまでにいくつか話をしたが、愛想が良いように見えてその目は笑っておらず、あからさまに距離を取ってくる女だと感じた
少なくとも自分に心を許すつもりは現時点では感じられなかった
「此方が大尉殿の部屋であります」
「うむ」
「しかし、大尉ともあろうお方が住居を構えなくとも大丈夫でありましたか?」
「うむ、士官と言っても見ての通り新米だからな
贅沢は敵だ」
「そうでありますか」
彼女はベッドに座り、具合を確かめていた
月島軍曹は大尉の荷物を部屋の端に置く
目線をやると、ポーカーフェイスが崩れた
「!?」
彼女が上着を脱ぎ始めたのだ
「貴様、私の世話役だったな?」
「は…はい、はっ?」
動揺が隠しきれない
華奢な手はするすると衣服をほどいていき、とうとうズボンまで下ろし始めた
彼女の下着は、現代で言うビスチェとペチコート型の物だ
「!!」
たまらず踵を返し、壁を向いた
「で、出ます!
失礼致しました!!」
「待て、出るな」
扉にかけた手を止める
目線は絶対に彼女を見ないように、と扉を凝視する
「しかし……」
「こっちを向け」
これから何が始まるのか、頭が疑問符でいっぱいだった
良からぬ事が脳内に浮かび上がろうとするが、気合いで消し去る
とにかく心を無にして、覚悟を決めて振り向く
「……!」