第1章 月島軍曹に出会う
まだまだ寒い季節が続いていた
北海道の冬は長い
風が吹き、月島軍曹が寒さの為コートのポケットに手を突っ込んだ
本日は例の女が小樽へ来る日だと言うのに、聞いていた時刻を大幅に過ぎていた
中へ戻ろうかと何度も思ったが、もう来るのではないかと中になかなか入れずにいた
行動の理由は、彼女へ取り入りたいが他ならない
「!」
馬の蹄の音がした
期待をして音の方を見る
馬車此方へ向かっていた
あれに違いない、と姿勢を正す
「月島軍曹!」
馬役の男が、月島軍曹を呼ぶ
名前は知らないが、見たことのある男だった
「ご無沙汰しております
和田大尉をお連れいたしました」
「ご苦労」
敬礼をし合う
馬車が止まった
馬車の扉へと向く
ここからは中が見えないタイプの馬車だ
扉が開く
「お前が月島か?」
中からは、いかにも気がきつそうな女性が出てきた
身長は低いながらもオーラがあり、助骨服を着こなしていた
始めに月島軍曹の頭をよぎったことは、゛父親似ではないな゛と言うことだった
「初めまして、和田大尉殿であらせられますか!
補佐役を勤めます、月島と申します!
以後、お見知りおきをお願いいたします!」
「堅苦しい挨拶は良い
どうせ穴埋めの大尉だ
鶴見中尉は?挨拶がしたいな」
「申し訳ありません、鶴見中尉は先日の放火事件の報告のため、旭川の方へ出向いておられです」
「あーそうか、早速やらかしてるらしいな
おい馬車!ここから旭川までは今日は行けないんだよな?」
ここまで案内をしてきた軍人に聞く
「はっ!
残念ながら、旭川までは数日かかります!
本日は長旅のため小樽に泊まられるのが一番かと存じます!」
「じゃあまあ仕方無いな
月島、上官宿舎まで案内しろ」
「はっ!」