• テキストサイズ

月島軍曹を絶対幸せにするマン

第3章 月島軍曹と網走監獄



根室


「仮にも上官を呼び出すとは、流石鶴見中尉殿は違いますなぁ」

「はっはっは、御美しいお嬢さんの嫌味は、悪い気がしませんなぁ」

「(相変わらず喰えない奴)」


後日、月島軍曹が迎えにきたと思ったら、そのまま根室まで連れてこられた


「で、今度はどういう風に私を利用しなさるのですか?」

「利用だなんて恐れ多い
何、簡単なことですよ

次の新月の番に、我々と網走監獄までご一緒頂きたいのです」

「網走監獄?
何で」

「金塊の在処を知るものが居るのです」

「…………分かった」


鶴見中尉の部屋を出ると、月島軍曹がいた


「部屋までお送りします」

「(逃げないように、見張りだな)」


黙って二人で歩く


「網走監獄へ行くまでは、私がお迎えに上がるまで絶対に部屋から出られませんようにお願いします」

「何で?
今さら逃げないぞ」

「いえ、逃げる逃げないの話ではありません」

「中央に連絡を取られるのが不安なんだろう」

「いえ、そう言う事では…」


歯切れが悪い月島軍曹にいらっとする
ああ、この男は何一つ私を信用していないと言うことか

心を開いていたのは私だけだったのか


「月島軍曹が一切私を信用していない事は分かった
残念だ」


月島軍曹の眉間のシワがいっそう増えた
予想外のくちゃくちゃの顔にう、となる


「う、さみと」

「うさぎ?」

「宇佐美上等兵に、近付かないで頂きたいのです」

「え」

「すみません、私情で貴方の行動を縛ることに抵抗があったもので」

「………ふん、真実はどーだか」


本当だったら良いのに、と信じたいがただ1人の兵士に近付けたくないなどと言う理由がヘンテコすぎて、にわかには信用が出来なかった

自室への足取りを止め、踵を返す


「あ、どちらへ」

「厠だ」

「お供します」

「阿保か、女の厠にまで着いてくるな!
戻ってくるからここに居ろ!」


何が悲しくて好いた男に厠を見守られなければならないのか
月島軍曹を置いて厠に行く


「(もしかして、宇佐美上等兵って物凄く美男子だったり、女泣かせだったりするのかな?
そうだとすると、まさか、ヤキモチ!?)」


敢えて宇佐美上等兵と仲良くして月島軍曹を煽ろうかと考えていると、兵士とすれ違った
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp