第3章 月島軍曹と網走監獄
「俺は不死身の杉元だ!!」
杉元が白石を掴み、窓から飛び出す
「逃がすな!」
鯉登少尉と共に階段を駆け降りる
外に出ると、銃声を聞き付けた兵もぞろぞろと出て来ていた
「鯉登少尉、今日は気球体視察機の試験飛行の日だ
闇雲に探しても佐一達は見つからない、上から探そう!」
「(佐一?)はっ!」
二人で気球の方向へ向かうと、何やら揉めていた
運良く杉元達も気球を盗むつもりだったらしい
兵隊達を足場にして気球に手を掛ける
鯉登少尉は軍刀を取りに行ったため遅れて、気球に掴まれなかった
「掴まれ!」
鯉登少尉と手を繋ぎ合う
引き上げる力はなかったが、鯉登少尉が自分で登ってくれた
「「「!」」」
五人で睨み合う
「ゆめちゃん、鯉登少尉……」
「佐一、何で金塊争奪戦に参加してるの
故郷に帰ったんじゃなかったの?」
「悪いが今はゆっくり話す暇はねぇ
尾形、銃剣を寄越せ、俺がやる」
「(こいつが尾形!)」
鯉登中尉が目を見開く
「尾形百之助…貴様ァ!
よくも鶴見中尉どんを~○◇□△◎▽※♯︎○□!!」
「相変わらず何を言ってるかさっぱり分からんですな、鯉登少尉殿
興奮すると早口の薩摩弁になりもすから」
「○◇□△◎▽※♯︎○□!!」
尾形の煽りで更に怒った鯉登少尉は、刀を構えた
恐らく斬りかかる気だろう
杉元が受けるが鯉登少尉の力は強く、銃ごと頭を打った
「キエエェーーー!!(猿叫)」
「待って!佐一を殺さないで!」
鯉登少尉を羽交い締めにする
その時、鯉登少尉の顔の前を矢が通った
「「!」」
下を見ると、馬に乗ったアイヌの女の子がいた
「あの子……」
鯉登少尉と下を見ていると、ガクンと体が揺れた
白石が飛び蹴りをかましてきていたのだ
「白石!」
「とーう!」
鯉登少尉と共に空中へ投げ出される
「ゆめちゃん!」
杉元は手を伸ばすが、その手は空虚を掴んだ
「佐一ーーー!」
「○◇□△◎▽※♯︎○□!!」
「ハッハッハー!
あーばよ鯉登ちゃん、和田ちゃん!」