第2章 月島軍曹と刺青人皮
小樽
「月島軍曹はまだ夕張から戻らないのか?」
「これは大尉殿、先日はご協力ありがとうございました
月島はまだ夕張におります」
夕張での捜索からそこそこの日にちがたった
あれからすぐに鶴見中尉に連絡すると、数名を引き連れてやってきた
そこでお役御免を言い渡され、私はそこで夕張を離れた
「夕張に犯人が居るところまでは検討がついただろ
それにしては時間がかかりすぎていないか?」
「月島の身を案じてくださっているのですかな?」
「いやっ
そ、そう言う訳じゃない!
断じて違う!
刺青人皮の事を私は気にしてだなー!
…いやまぁ、上司として月島軍曹のことも気にはかけてるぞ?
しかしそれは、月島軍曹のことだけでなく、前山?のことも心配してるし……
上司が心配するのは普通って言うか………」
「ご安心下さい、月島軍曹と、前山は息災です」
「そうか、前山が息災なら良い!」
何とか鶴見中尉は納得してくれたようだ
「(そうだよな、上司が部下を心配するのは当然だよな)」
「今彼等には、特別な任務を任しているのですよ」
「特別?
刺青人皮と関係ないのか?」
「うふふ、まぁそのうちわかります」
どうやら現時点では教えてくれる気は無いらしかった
月島軍曹は今何をしているのだろう
後頭部に手をやると、彼に貰ったリボンに触れた
彼の無事を祈りながら撫でる
その日の夜は、この季節にしては冷たい雨が降った