第2章 月島軍曹と刺青人皮
「積丹の海岸でまた死体が見つかった?」
尉官室で鶴見中尉といると、隊士の一人がやって来て報告をしてきた
先日鶴見中尉に教えて貰ったが、北海道のどこかに隠された近金塊を探しており、そのヒントとして"いれずみにんぴ"とか言うものが必要らしい
一度持っているものを見せて貰ったが、非常に気持ちが悪いものだった
「よし、脱獄囚の可能性が近いな
兵を連れて確認に行こう」
「鶴見」
「はい?」
「私もどんなものか見たい
連れていってくれないか」
「勿論です」
鶴見中尉がニヤリと笑う
こいつの笑顔ほど怪しいものはないな、と思った
ー北海道西部海岸ー
とっくに春の季節だと言うのに、北海道はまだまだ雪が残り寒い
海辺では多くの漁師がニシンを獲っていた
「大尉殿は今回は見学と言うことで、私の後ろに居てくださりますかな?」
「うん、分かった
今回はどんなものかを見たいだけだしな」
鶴見中尉の提案に素直に頷くと、彼は満足そうに微笑んだ
「どういうやり方で探すんだ?
一人一人に聞いて回るのか?」
「まさか
そんなことをしては、簡単に逃げられてしまいます
先ずは代表者の元へ参りましょうぞ」
「(なるほどな、情報将校と行動していると、勉強になるな)」