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月島軍曹を絶対幸せにするマン

第1章 月島軍曹に出会う



「月島軍曹ー、月島軍曹ー

あ、そこの二等兵、お前次の軍曹を見なかったか?」

「お疲れ様でございます、和田大尉殿!
いえ、月島軍曹は見ていないであります!」

「そうか、もういい下がれ

月島軍曹ー」


月島軍曹が喫煙所でたばこを吸っていると、遠くで彼女の声が聞こえた
鈴を転がすような声に、溜め息を着きながら隠れるようにしゃがみこむ

白い煙が吐かれた
隣で吸っていた前山が同情の目で月島軍曹を見る


「折角の非番なのに、お気に入りは大変ですねぇ」

「どうせまたしょうもない事だろう」

「(月島軍曹の何がそんなに気に入られたんだろうなぁ)」


前山が月島軍曹をまじまじと見る
特別見目麗しいわけでもない、背も低い

こう言っては失礼だが、兵士としては素晴らしいものの、男性的魅力はあまり感じなかった
怒ると怖いし、愛想が良いわけでもないしなぁ、と前山は分析する


「月島軍曹!ここにいた!」


とうとう見つかってしまった
窓から大尉が身体を乗り出して覗き込む


「和田大尉殿、気付かず申し訳ありません!
御用でありますか?」

「(しれっと嘘着いたな)」

「貴様今日非番だろう!
甘味でも食いに行こう!奢るから!」


窓に足をかけ、外へ出てくる
月島軍曹は眉を潜めた


「行きますから、はしたないことせんでください」


月島軍曹は面倒くさそうに立ち上がりながら指摘した
大尉は早く早く、と月島軍曹の袖を掴んで急かす

二人のやり取りに前山は驚いていた


「(和田大尉って、あんな風に笑うのか)」


花が開くように笑うな、と前山は感じた
いつも他の隊士には壁を作った態度なのに、月島軍曹には笑って袖などを掴んでせがむのだ


「(可愛いな)」

「何食いたい?汁粉とかどうだ?」

「と言うか、仕事は良いんですか」

「案ずるな!鶴見に団子を買ってくる代わりに休憩を貰ったんだ!」

「…じゃあ小腹がすいたんで、ライスカレーが食いたいです」

「お前本当白米好きだなぁ!」

「(あの鬼軍曹がなぁ)」


二人で消えていくのを、前山は見送った


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