第1章 月島軍曹に出会う
「え、まさか事実で「お前ら、女性尉官だからって嫉妬するんじゃない」
「月島軍曹殿!?」
「月島……」
兵士達は慌てて月島軍曹へ敬礼の形を取る
月島軍曹の首もとには、太い青筋が浮かんでいた
「大尉殿は中学をご卒業されて、ご立派に中央からご指名を頂いて大尉の座に着いておられる
今後女性兵士を増やす試みの先駆けのお人だぞ
俺やお前らのような学のない人間とは違うのだ」
「そ、そうでありましたかぁ!
それでは失礼…ひぃっ!」
この場をとにかく早く去ろうとする兵士を遮るように、壁を思い切り蹴る
廊下中に破裂音が響き、窓が割れるのではないかと思うほど揺れた
「それと、俺はその手の馬鹿みたいな噂が大嫌いだ
今後その噂を流しているのを知ったら、ただじゃおかんぞ」
「も……申し訳ございません!!」
「他の隊士にも伝えておけ
そんなに噂が気になるなら、俺が"教え込んで"やる、とな」
「ぎょっ……御意であります!!」
「し、失礼しますぅ!!」
隊士達は一目散に逃げていった
「廊下は走るな!!
………ったく、大尉殿もあんな態度だから舐められるのです
怒鳴ってやれば良かったん………?」
大尉を振り返ると、驚いた
さっきまで死んでいた顔は、大変嬉しそうににやにやと笑っていた
「何が可笑しいんですか」
「別にぃ~~~」
「?」
「ふふ、月島軍曹ぉ」
「はっ」
「お前、良い奴だな!」
「?」
「よし!
次の非番に飯を食いにいこう!」
背中をばんばんと叩かれる
彼女に触れられたのは初日以来始めてだったが、あの時とは違い、その暖かい手に嫌な気分はしなかった