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月島軍曹を絶対幸せにするマン

第1章 月島軍曹に出会う



「貴様を抱くのなど、便所を使うようなものだろう」


誰だったか、いつだったか


奥さまは大丈夫ですか、と嫌味のつもりで聞くとこう言われた

この言葉は佐官の間で大ウケし、これ以降私は便所、と呼ばれることも多くなった




戦争中、兵士たちは余る性欲を解消すべく、後方部隊で女が用意された

それは大変人気で兵士中で性病が流行り、コンドームを国が支給する程であった



しかし、佐官のお偉い方が素性の分からん女を抱いてつまらない病気を貰うわけにはいかない

そこで、私が宛がわれたのだ



佐官殿方は大変気に入ってくださり、寵愛をより注げるように、と奉天会戦では少尉から中尉に昇格した


しかし戦争が終わると、不要の長物となったいき遅れ女でしかない

そこで、せめてもの役に立てと北海道へ送り込まれた

なお、全てを解った上で陸軍へと入隊させたのは誰でもない父親であり、娘の"功績"の代わりに佐官への昇格が約束されていた




「………ってわけだよ」

「…………」

「力のない女なんて、所詮こんなものだよ」

「…………なんと言えば良いのかわかりません」


なるべく暗くならないようにと話していたが、月島軍曹はその手の話が嫌いなのだろう
みるみるうちに眉間の皺は深くなり、不快さを露にしていた


「しかし、貴様も花街くらい利用したことはあるだろう
あれらは金のない女が体を売って生活するための場所だ
親に売られて働くものも多い

私とて立場は違えど境遇が変わらんだけの話だ」

「そうですか……」

「まぁ何が言いたいかと言うとだな

中央は私が尻尾を振っていると思い込んでいるが、恨みの方が強い
殺してやりたい程恨んでいたクソ親父は、月島軍曹が殺してくれた

貴様には恩があるからな
恩の分だけは第七師団の味方をさせて貰うよ」



体も充分暖まったし、さぁ帰ろうと月島軍曹を促す
しかし未だに心に傷を残している軍曹を見て、彼は優しい人間なのだなと思った


「帰りに饂飩でも食おう!
奢ってやる!」

「はぁ………」

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