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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第1章 私は私で私じゃない





「宇髄、薫さんの都合もあるだろう?」

宇髄さんの提案に目を丸くしている煉獄さん
なんだろうな。この2人、すごく面白い
きっと性格も好きなものも対照的だろうに
妙に息は合っている

でも、遊びにきてくれるのは大歓迎だ
独りでいる時間が減るってことだ

「私はいつでも…大丈夫…です」

「おう!なら美味い土産持ってくるわ!」

「薫さんは何が好きなのだ?」

結局煉獄さんも乗り気のようで
お土産に話はもってかれている

「私は、なんだろうな…好きなもの。卵焼き、かな。甘いの」

お母さんが、またちゃんとお母さんだった頃、よく作ってくれた甘めの卵焼き

「卵焼きか!宇髄、美味い卵焼きの店を知っているか?」

煉獄さんは声がとにかく大きい。まだ夜も明けない頃だと言うのに
辺りに響きそうな声で話している
でもこの辺は人里から少し離れている

まるで厄介者を追いやるかのように建てられた家
私もお母さんも厄介者なのは確かなわけだけど…

「そうだな…市場に行きゃあんじゃねぇか?それとも、煉獄と俺で作るってのもいいんじゃねぇか?」

「ほう。俺は料理はからっきしだが、宇髄はできるのか?」

「いやいや、俺だってしねぇって。でも食ったこともねぇ店のよりは納得いく味できんじゃねぇの?」

どんどん話が進んでしまっている
卵焼きは好きだけど、避けてきたものだ
楽しかった頃を思い出すから
でも…この人達となら思い出すことが怖くない気がしたんだ

「そうだな!ならば千寿郎に指南してもらわねばならんな!薫さんはそれでよいか?」

ぽけっと違うことを考えていた私に、唐突に質問を投げかけられた

「へぇっ?あっ、はい。それでいいです」

なんだっけ?
うん。いいはずだ。
この2人が言うことだ
さっき会ったばかりなのに、信頼と言うか安心というか
そんな気持ちを2人に感じる

これで騙されていたとかだったら?
それでもいいや
そう思うくらい、居心地がよかった

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