第2章 戸惑い、揺れる
余裕のある嫌な笑顔じゃなく、真剣な顔がそこにあった。
「それまでは……逃がさねぇよ」
言って、またキス。
次は、触れるだけなんてものじゃなかった。
「んぅっ、ンんっ、はぁ、ふっ……」
「えっろい顔……っ……」
半間の服を握り、必死で呼吸する。
生温かい舌が、ねっとりと口内を犯して、体が疼き始める。
「腰、揺れてっけど?」
「うっさいっ……さっさとしてっ……」
「ひゃはっ……りょーかーい」
私のお尻を両手で揉みながら、勃ち上がる下半身を擦り付けて、意地の悪い顔で笑う。
腹が立つのに、体は正直で。
素早く下だけ脱がされ、昂りが入ってくる。
ゾワゾワと背筋に電気が走り、鳥肌か立つ。
半間のキスは危険だ。出来るだけ避けないといけない気がする。
午後の授業に間に合わず、体操服のまま私は倉庫の中で半間の上着を着て、膝に頭を置いて寝転ぶ半間の吸うタバコの煙を見つめていた。
我ながら、よくこんなにも体力が持つなと驚いてしまう。
でも体育の後だから、さすがに疲れてしまった。
跳び箱に背を預けながらウトウトとしていると、膝上の重みがなくなって、代わりに隣に半間の気配がした。
「起こしてやるから、寝てろ」
半間の方を見ようと上げた私の頭に、ぶっきらぼうな言葉とは裏腹な、妙に優しい声がした後に手が置かれて、半間の肩に頭を置く体勢にされた。
何だこの空間は。
甘い。甘過ぎる。こんなのは、私達の関係で出すべきじゃない雰囲気だ。
さっきまでの眠気は何処へやら。
目が冴えてしまった。
変な緊張感が襲い、チャイムが鳴るまで眠る事が出来なかった。
放課後、私は陽介に呼び止められた。
「この後暇? 放課後デートしない?」
「……デート」
生まれて始めて口にする言葉かもしれない。
目の前で、爽やかな笑みを浮かべるイケメンとデートとは。私もなかなかやるな。
ただ友達と出掛ける気持ちで、私は陽介と街へ向かった。
ゲーセンに行ったりウィンドショッピングをしたりカラオケに行ったり。
普段男の子と二人で出掛ける事もないから新鮮だ。
「へー、陽介って歌上手いね」
「そう? ありがとう」
そう言った陽介が距離を縮めて座る。