• テキストサイズ

掴めない貴方【東リべ夢】〘半間修二夢〙

第1章 歪なカンケイ




毎回何かを企んだような、ニヤニヤした顔で私の前の空いている席に座る。

「おはよ、社長出勤じゃん」

「もっと早く来るはずだったんだけどね」

「半間君?」

目の前で楽しそうに話すのは、幼なじみでもある親友、静(しずか)だ。

「ご飯どーする?」

「裏行こ」

二人で教室を出ると、小さな鈴の音が聞こえる。

「おー、ちゃんと静ちゃんおっはー」

「おはよ」

「一虎と鉄太じゃん。おはよー。てか、一虎がこの時間にいるの珍しいね、ご飯食べに来たの?」

「うん。絡まれた奴等ボコってたら、腹減ってさぁー」

挨拶を返した私と話し掛ける静に、ニコニコと答える羽宮一虎。

「半間は一緒じゃないのか?」

「うん、登校するか聞いたんだけどね。多分まだ寝てる」

私の言葉を特に気にする事なく、稀咲鉄太は「そうか」と言った。

流れで昼食を一緒に摂る事になり、体育館裏の誰が用意したのか分からないベンチに座る。

たまにこうやって一緒に食べるけど、彼等は本当の所、私と半間の事をどう思っているんだろう。

一虎は特に、人の事で細かい事を気にするような人じゃないだろうけど、鉄太は違うんじゃないか。

私の勝手なイメージだけど、爛れた関係に嫌悪を感じる側の人種なんじゃないかと感じてたりする。

聞いた事はないし、聞く気もないけど。

私と半間の関係は、簡単に壊れるようなペラペラな関係だし。

昼食を摂った後、私は三人に断りを入れてトイレへ向かう。

手を洗って外へ出ると、知らない女の子が立っていた。

「あの、先輩、ですよね?」

誰だろう。何で私の名前を知っているのか。私はそこまで目立つタイプではないのに。

「単刀直入に聞きますけど、先輩は半間先輩と付き合ってるんですか?」

この質問は、最近結構よくされる。

だから、学校では出来るだけ半間と関わらないようにしようとしているのに、半間は何も考えずに声を掛けてくる。

その話をしようとしていたのに、すっかり忘れていた。

「付き合ってないよ。ただのクラスメイトだけど」

「そうなんですね、よかったぁー。凄く仲がよさそうだったから、もしかしたらって思ってたんですけど」

半間に好意を持っている子は少なくないだろう。

/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp