第4章 新しく、ここから
私がいう“あの子”とは、後輩の事。
「あー、いたな、そんな奴。あんなん数にも入んねぇな」
「だ、だって、教室で……」
呟く私の指を優しく絡め取り、ゆっくり引っ張ってベッドに誘導する。
私はそのまま、ベッドに腰掛けて修二を見上げる。
「あれはまぁ……確認だな」
「は? あんなので何の確認が出来るっていうのよ……」
「お前以外の女に勃つかどうか?」
男なんだから、誰であろうとそうなったら機能するだろうに、一体この男は何を言っているのか。
でも、どうだったのかは、少し気になるところでもある。
「け、結果は? 出たんでしょ?」
興味ないフリをして、私は修二から目を逸らして聞く。修二が笑う気配がして、チラリと盗み見ると、細められた目に見つめられる。
顔が、近い。
「さぁ……どうだろうな?」
「っ!? ほんっと、あんたって性格悪いっ!」
「ひゃはっ! 可愛い奴」
頬を包まれ、更に顔が近づく。
今にも唇が触れそうで、こんなにもちゃんと真っ直ぐ見つめ合うなんて初めてかもしれない。
心臓が、うるさい。
顔が熱くて、どうにかなってしまいそうだ。
「で? 返事は?」
返事なんて、とっくに決まってるのに。
「わ、私も……好き……です……」
「知ってる」
優しく笑って、そのまま唇が触れた。
触れて離れて、また触れて。
触れるだけなのに、何が自分をこんなにも興奮させているのだろうか。
「はぁ……キス、好きか? エロい顔してるぞ」
「っ……るさいっ!」
「いーねぇ……ゾクゾクする……」
「ちょっ……ダメっ、あんた、病人でしょっ……」
修二の手が頬から脚に移動して、いやらしく撫でる。その手を止めるように上から押さえる。
なのに、修二は私の首に顔を埋めて、首筋にキスをして舐め上げる。
その感触に、体はビクビクと喜びに震えた。
まるで、待ちわびていたみたいに。
だけどここは病院で、個室とはいえいつ誰が来るかも分からない。
―――コンコンッ。
ほら。
私は必死に抵抗して、修二の手から逃れる。
さすがにまだ怪我が完治していないから、痛いのか少し顔を歪めて「あー、クソっ……ダリィ」と呟く。
入って来たのは看護師さんだった。