第5章 そして恋人へ
数日で退院となったある日、私は今日も修二の病室にいた。
「ちょっ……もっ、いい加減にっ……」
「あん? ずっとヤってねぇし、お前がうるせぇから、怪我治るまで大人しく待ってやってただろーが。溜まってんだから、ちょっとくらいいいだろ」
私は現在、修二に病室のベッドで組み敷かれております。
ちょっとマシになったからって、修二はここぞとばかりに触って来て、酷い時にはすぐ事に及ぼうとしてくる。
「ま、まだ完全に治ったわけじゃないんだから、ダメっ!」
「俺が大丈夫だって言ってんだから、大丈夫だろぉ」
どんな理屈だ。
本当に何処までも自由で、マイペースで勝手な男だ。
「俺にここで無理矢理犯されるか、大人しくするか。選ばせてやるよ」
そんな無茶苦茶な二択が存在していいのか。
「ちなみに、拒否権はねぇぞ」
私の心でも読んでいるのか、先に言われてしまった。
どうしてもヤる気だ。
「……と、とりあえず……傷が開いたら駄目だから……私が上に、なる……」
私が修二に勝つには、どうにか納得させるしかない。
なかなか厄介な男だ。
私はベッドに座った修二の、少しだけ開かれた脚の間に体を沈める。
「へぇ……口でシてくれんの?」
これならまだマシ、だと思う。
何もしてないのに、もう既に勃ち始めている修二の昂りを、久しぶりに目の当たりにして、少し恥ずかしくなる。
「今更何赤くなってんだ。可愛い奴」
髪を優しく撫でられ、私は彼のモノに奉仕を始めた。
そこまで得意じゃないし、咥えるのも好きじゃない。けど、一時的にでも、彼の意識を行為から逸らせるなら、このくらい何て事はない。
「んっ、ンっ、ふっ……はぁっ……むっ……」
「くっ……ぁ、ははっ、ちょっとお前っ……何かっ、上手くなってね? っ、ぅぁ……」
そんなの自分で分かるわけがない。
「はぁ……っ、誰で練習したわけ?」
「んっ……修二以外、するわけ……ないでしょっ……」
私が言うと、ニヤリと笑った修二の昂りが、先程より大きさを増した気がした。
出来うる限りの知識と経験を思い出しながら、舌と唇を使いながら、修二の弱い部分を刺激する。
荒い息と興奮を顕にした視線で、私の前髪を撫で上げる修二を目だけで見上げた。