第4章 新しく、ここから
〔半間修二side〕
女は腐る程抱いて、捨てて来た。
寄って来る女は、どいつもこいつもアホで空っぽな奴ばかりで、ただ性の捌け口にするだけの退屈な行為を続けていた。
「名乗るならまず自分から」
気が強くて、生意気そうで、制服がよく似合ういい女だった。
短めのスカートから覗く、妙にエロい脚と、服を着ていても綺麗な線が見えるいい体に、俺は久しぶりに欲情した。
同じ学校に、こんないい女がいた事に全く気づかなかった。
抱けば抱く程、一緒にいる程、俺はに溺れていった。
は知らないが、に出会ってから俺は、他の女を抱かなくなって、全ての女を切った。
正直、一人の女に入れ込むなんてのは、初めての事で。
体の相性がいいのはもちろん、不思議なのはといると、妙に落ち着いてしまっている。
女という生き物は、ただの性の捌け口の対象だったはずなのに。
「何なんだよ……ダリィー……」
自分の中のに対する気持ちの正体が、一体何なのかが分からず苛立ちを覚える。
そんな時に現れたのが、田辺陽介だった。
最初から胡散臭い奴だと思った。
爽やかな笑顔の裏に、何か黒く汚いモノがある気がした。
満更でもなさそうなに、また苛立つ。
いつもの店で、稀咲と羽宮と呑んでいた時だった。
後ろの席から、聞き覚えのある声と名前が聞こえる。
「そういや、陽介。次の子羊ちゃん見つけたって?」
「あぁ。ありゃぁ、もうちょいしたら靡くな。エロい体しててさぁ……すっげぇいい女だぜ」
「マジかよっ! 楽しみーっ!」
「やべぇー、考えるだけでムラムラしてきたわ」
「前の女は締まりもイマイチだったしなぁ。胸デカいだけ。早くヤりてぇー」
数人の男の胸糞悪い会話を聞いて、の話だと分かった。
怒りが限界を超えて、妙に冷静になる頭でどうやって潰してやろうかと考えながら、俺はタバコを置いて立ち上がる。
暴れる俺の後に続くように、一虎が楽しそうにはしゃぎながら立ち回る。
再起不能になるまで殴り続け、俺はの眠るホテルへ戻った。
幼く見える寝顔のの髪を撫でると、小さく身じろぐ。