第3章 歪に終止符を
何処か楽しそうな目の前の勝手な男に、また溶かされて、溺れていく。
いつの間にか、死神の闇に堕ちて、染まる。
それが、心地良いのは何故だろう。
だいぶ重症だ。これ以上拗れる前に、いつ飽きられて捨てられてもいいように、離れる準備もしておかないといけない。
またも昼前に登校する事になり、担任の説教もそこそこに、教室へ向かう。
静に挨拶をして、ふと気になった。
陽介がいない事に。
「田辺? あー、あの爽やかイケメン? がクラスの男子覚えてるなんて珍しいね」
「まぁ、なりゆきで」
「ふーん……。彼昨日何かあったみたいだよ。入院したって、HRで担任が言ってた」
陽介が入院したらしい。
静がクラスで陽介と仲のいい人に聞いたら、予想外の言葉を聞く事になる。
昨日“半間修二にやられたらしい”と。
理由はさすがに分からなかった。
何でそこで、修二の名前が出てくるんだろう。
陽介と修二の間に、一体何があったのか。
私は放課後、スマホで修二に連絡をしたけど繋がらなくて、仕方なく鉄太のクラスを覗いてみた。
「本人に聞けばいいだろ。俺は半間じゃないから分からないな」
「スマホ繋がらないのよ。じゃ、何処にいるか教えて。歌舞伎町に行けばいる?」
「バカかお前は。最近あの辺は物騒だから、女一人で行くもんじゃねぇよ」
言われ、鉄太が連絡をくれると約束してくれたから、待つ事にした。
陽介のお見舞いにと思ったけど、面会謝絶らしくモヤモヤしながら、自分のベッドで仰向けになる。
翌日、鉄太から修二が学校に来ていると聞いて、私は彼を探す為に校内を歩き回る。
「何処にいるかも聞いてて欲しかった……」
頭をフル回転して、修二の行きそうな場所を片っ端から当たっていると、人気のない空き教室から声がした。
控え目に扉を開いた私は、固まった。
窓際の机に軽く腰掛けた修二と、その足元に座り込む女子生徒。
修二のズボンのベルトとチャックは外されていて、女子生徒が修二に御奉仕中なのは明らかだった。
その子は、前に私に質問してきた後輩だった。
別に、気にする事じゃない。
修二はセフレで、ヤリチンで、女なんていくらでもいるし、据え膳食わぬは男の恥な男だ。