第8章 新たな任務
夢主side
ちゃんと部屋にも鍵があってまだよかったけど。
血に飢えた男達と共に過ごすのだから、それなりに警戒しなきゃならない。一歩間違えれば即座に殺し合いが始まりそうだ。
梵天の内部はマンションというより綺麗なホテルに近い。
・・・春千夜の部屋もその辺にあるのだろうか。
初めて抱かれた日は彼のマンションだったけどここではない。
犯罪組織にいる人間は大体いくつか家を持っている人が大半なので、そのうちの1つだったんだろう。
今回は特にこの前のような梵天側とのミーティングがある訳ではない。仕事の詳細は全て確認済みなので、スケジュール通りにそれぞれ仕事をすればいいとの事。
ゼンがいうには、諸々は九井という男が手配してくれるそうだ。
そこで気づいたのだが
・・・春千夜と過ごせるような時間、別に無くない?
それもそうだ。こっちに滞在する、と言うだけで別にこの仕事は私とゼンが任されているものだから春千夜と行動する訳では無い。
盲点だった・・・!
まぁアジトで生活していれば顔を合わせる事はあるだろうけど、想像していたような時間にはならない気がする。
『・・・はぁ。・・・そっちが会いにきてくれればいいのに』
ボソッっと呟いた言葉は誰の耳に届く事もなく消えていった。
今、何してるんだろうか。
不意に思い出すのは彼の女癖の話。
・・・私を抱いた時以外に女と会ってない訳ないよね。
連れ込んだりするのかな。
1人でいると良くないことばかり考えてしまう。
仕事自体は明日からなので今日はとりあえずゆっくり過ごす事にした。
せっかく綺麗なジャグジー付きのお風呂があるんだし、泡風呂でもしようかな。
荷物を片付けながらお風呂の準備も進めた。
でもなんだか、彼の生活している範囲に自分がいるってだけで多少気分も違う。数ヶ月どこにいるか何をしているかすらわからない、なんて事に比べたら何倍もマシだ。
・・・今くらい、浮かれてもいいか。