第10章 急展開
夢主side
______
____
あれから自室へと帰ってきて、先程の事を思い出していた。
"白龍"という組織は規模がでかい分、組織員も多い。
しかしそこから抜けたという男はきっと、命からがら逃げ出したのだろう。
あそこはきっと、残酷な場所だ。
どうなったか不安で不安で仕方ない。あの男は無事にあのまま死んだろうか。そればかり考えていた。
冷や汗をかきながらもスマホを握りしめていると、ゼンからのメッセージ。
急いで開くとそこには、『始末完了、情報に関しては心配無用』と。
・・・よかった。
問題は、あの場にいた梵天の人間が怪しんでなければいいけれど。
ホッとした瞬間に緊張が解けて、むしろお腹が痛いくらい。
・・・・・・春千夜、まだかなぁ。
何か変だと思ったかな。取り乱してしまったかもしれない。
彼にだけは、嫌われたくない。引かれたくない。
完璧な自分でありたいのに、いつもいつも上手くいかないの。
_____コン、コン
ノックが聞こえ、勢いよく立ち上がりドアへと駆け寄った。
急いで扉を開けると、
「うぉっ!急に開けんなボケ!びっくりしたわ!」
『・・・っ!春千夜、お、遅いよっ・・・』
わぁん、と心の中でなりながら彼の服を掴んだ。
来てくれなかったらどうしようかと思っていた。
「なんだァ?・・・んな泣きそうな顔してんじゃねえよ」
はいはい、と宥めるように私の背中を撫でてくれる。
それに甘えて春千夜にしがみついた。
『・・・明日はおやすみ?この後は?』
「明日は仕事、この後は特にねぇよ」
『そっか、お仕事だよね』
服を掴んでいた手をさりげなく春千夜の背中に回した。
いつの間にか自然と彼の手も私の腰に回っていて、部屋の入口でただただ抱きしめ合っていた。
「んだよ、なんかあんのか」
『・・・ここにいて欲しいの、今日1人になりたくない』
欲張りかもしれない、ここに来てから春千夜と過ごす時間が増えてから。
すぐ寂しくなってしまう。
特に今日は、1人になったら悪い事ばかり考えてしまいそうで嫌だった。