第8章 新たな任務
夢主side
「こちらになります」
梵天に到着した後、私達を部屋まで案内したのは部下らしき男。
建物の中は前よりも静か。幹部達は出払っているのだろうか?
ゼ「俺の部屋はこっち、なんかあったらどっちかの部屋で会議な」
『了解、じゃあね』
ゼンと別れて、自室となる部屋の扉を開けた。
・・・いや、一体どこの貴族の部屋?
そう思うくらいに着飾られた内装。男しかいないアジトなら何も無い部屋を用意されているかと想像していたけれど、天蓋付きのベッド、大きなソファ、テレビ、可愛らしいドレッサーやシャンデリアまで着いている。
お風呂を覗くとなんとジャグジー付き。
・・・これには流石にびっくり。乙女心をくすぐるような最高の部屋だ。
ここに滞在するなら何も不自由はなさそう。
わぁ〜・・・と思いながらドアの前で部屋を眺めていると
「ど〜?オレのセンス、気に入ってくれた?」
これは職業柄の癖、突然背後からする声に一瞬で太腿に隠し持っていた拳銃を相手に向けた。
『・・・レディを驚かせるなんて、マナーがなってないわね』
「ハハッ、流石プロだなぁ。反応速度もピカイチ、強い女は好きだぜ?」
怯むことなくこちらを見下ろす男。
・・・灰谷、蘭。
最初の打ち合わせの時にもいた幹部。よく似た兄弟の片割れか。
つい本能的に銃口を向けてしまったが、彼も仕事仲間になる。ゆっくり降ろしてまた仕舞った。
『失礼。・・・この部屋は貴方が?』
蘭「良い女がここに来るっていうからオレが全部コーディネートしたんだぜ?家具から何から」
『そう。とても気に入ったわ、ありがとう。でも勝手に入らないでね』
不敵な笑みを浮かべるこの男は感覚的には合わなそうなタイプ。
何事も無かったかのように私は部屋へと進んでいく。
蘭「冷たいなァ〜、まぁそういう女を鳴かせるのが興奮すんだけど」
『はやく出てって。女の支度があるの』
蘭「はいはい、じゃあなチャン♡」
そういって彼は消えていった。
・・・ここの幹部は、厄介者も多いって事をすっかり忘れてたな。