第8章 新たな任務
夢主side
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ついに、今日から待ちに待った任務が始まる。
この歳になってソワソワしてあまり眠れてないのは内緒だ。
いつもより個人的には仕事内容も緩いし、こういう機会がなきゃなかなか会うことのできない春千夜と無条件で過ごせてしまうのがなんとも嬉しい。
梵天のアジトで生活する間の荷物は全て送ってあるし、仕事に必要なドレスなども全て揃えた。
浮かれてはいるけれど自分はプロの殺し屋。仕事は完璧にこなしたい。
『たまに帰ってくると思うから、それまで宜しくね』
「はい!お気をつけて。様」
私とゼンが不在の間は部屋の管理をいつものヘアメ担当の彼女がしてくれる。・・・愚痴を聞いてもらう相手がいなくなってしまうのは少し寂しい。
スーツを着こなしたゼンと合流し、梵天へと向かう。
毎日つまらない日々に飽き飽きしていた身としてはこういう派遣の仕事も悪くない。
『・・・キャバクラはあんまり経験ないけど、どこまでしていいの?』
「笑って酒飲んでりゃいいよ、イライラしても殺すなよ」
誰も殺すな、という命令は逆にストレスが溜まりそうだ、しかも目立つなというもんだからいつものようにハニートラップをしてはいけない。
ただの酔っ払いは好きでは無いし忍耐力が必要とされるだろうな。
最終的な打ち合わせをしながら彼等のビルが見えてくる。
いくら見知った仕事相手といえど秘密組織に所属している私達も油断はしない。ここから任務が終了する日まで、大事な話や大蛇内部に関わる話をする時はゼンと2人の時だけと決めた。
短期間ではあるが新生活の始まり。
はやく春千夜に会いたいな、と思いながら外を眺めた。
この気持ちを彼には悟られないように、胸の底に隠しながら。
勘違いしない、なるべく期待もしない。多くを望むのは良くない。
春千夜に触れられる感触を思い出して少しばかり身体が暑くなった。