第8章 新たな任務
夢主side
しかし気になってしまうのが女のサガ。
『え、えと・・・もうちょっとその話詳しく』
ゼ「ほらァ!やっぱ好きなんだろ!わかりやす!お前ほんとに天下のハニトラ要員?」
『うるさい!!違うから!!いいから教えてよ!』
もうヤケクソである。まぁいざとなったらゼンを裏社会から追放してやればいい話。コイツとお別れする日もそう遠くはないかもしれない。
ゼ「はぁ・・・具体的な事は知らねぇよ。でもあそこの連中はとっかえひっかえに女を連れてるもんだから、その中でも容姿のいいアイツは相当遊び人って話」
・・・納得してしまう部分もある。そりゃあんだけカッコよかったら私みたいに恋に落ちる女性はかなりの数いるだろうし、私だけが綺麗な訳じゃない。
むしろ春千夜にとって好みの女の子なんていくらでもいるだろう。
『・・・そ。別に、どうでもいいけど』
ゼ「別にお前が誰を好きになろうが自由だぜ?でもは見た目の割に恋愛経験値がまるでないから、ちゃんと考えろって事よ」
さりげなく貶されたのは気のせいだろうか。でも図星なので何も言えない。
確かに、自分だけかもなんて自惚れているのは事実だし。
梵天には女性がいないってだけで同業の女が私だけとは限らない。
それでも、彼の中では私はちょっとは特別なんじゃないかって思いたかった。
ゼ「・・・・それに、お前のその気持ちが事実なら気をつけろよ。
・・・"あの人"の耳に入ったらお前も三途も、どうなるかわからねぇぞ」
『・・・それは分かってる。けど、その話を春千夜にしないで、絶対に』
"あの人"
それは今は考えたくもない、私が背負うものの1つ。
柄にもなく真剣な顔をするゼンをみて、その重さを改めて知る。
・・・罠にハマっているのはいつだって私の方。