第7章 休日(※)
夢主side
彼に抱かれた時、信じられないくらい気持ちが良かった。
別に私も経験が浅い訳ではない。でも気持ちが入るだけでこんなにも違うのだと。
いつものように演技をする余裕なんでどこにもなくて。自分じゃないような声が止まらなくて。
抱かれている時、もう愛おしくて仕方がなかった。
かっこよくて色っぽくて、そんな春千夜を見ながら馬鹿みたいに興奮してしまった。
この感情が恋じゃないなら何だって話。
あぁ、認めてしまうとなんだか楽かもしれない。
『・・・そっか。私、いつのまにか好きになっちゃったんだ』
好きな人が出来たという事。苦しいはずなのに幸せだった。
私も彼も反社の人間だし、組織も違う。本来なら関わるような相手でもない。
それでも出会ってしまった。
きっと、初めて出会った日から私はずっと惹かれていたのだろう。
『・・・どうしたらいいんだろう、こういう時。よくわからないの。彼は私のこと子供扱いしてくるんだもの。・・・今日だってたまたま再会しただけでそれが無ければ会おうともしない』
「・・・私にあの方の思考は読み取れませんが、冷静に様のような素敵な女性と過ごして恋に落ちない方が珍しいですよ。もっと自信もってください!」
グッと拳を握ってドヤ顔でこちらを見る彼女。自信を持つも何も、こんな状況でどう持てばいいのだ。
連絡交換もしていない、しかも私よりゼンの方が会っているではないか。
春千夜が私に好意がありそうな瞬間なんて感じた事がないのだ。こうやって女を虜にしてきたんだろうな、としか思えない。
ただ、慣れてるだけ。私が特別なんじゃない。
『・・・好きになる相手、間違えたぁ〜〜・・・』
そう呟いて、目の前のお酒を一気に飲み干した。
もう知らない、今日は休みだし潰れてしまってもいいや。
ぐわんぐわんしてくる視界に気持ちのいい感覚。
理性が飛ぶのに時間は掛からなかった。