第6章 日常の変化(※)
夢主side
声をかけてくる男を受け流しながら私もフロアに出た。
ドリンクカウンターまで足を進める。大音量の音楽に頭が痛くなりそうだ。
『・・・・・・・・・あれ?あの男』
酒を片手にカウンターに寄りかかるピンク髪の綺麗な男。ここからでも目立つ程の色男がそこにいた。
しかし、傍には知らない女も。
(あ、あれって・・・・春千夜じゃん・・・・・・・・・・・!!)
まさかこんな所で見かけるとは。いや、逆に彼等のような男の方がこういう場所には来そうだけど・・・。
会う事もないと思ってた男の存在に思わず足が止まる。
よりによって・・・・・・てか誰、その女。
彼女?いや恋人同士で来る事はあまりないか・・・・・・じゃあナンパされた?それともナンパしたの?
よく見えないけどあんな感じの子が好みだったりする?
なんか、春千夜も女のこと見つめてたかも・・・。
私には暴言吐いたりからかってくる癖に、自分の好みの女であれば優しい顔もできたりするって事?
なんだかムカムカしてきたのでカウンターには行かず早足で来た道を戻った。
一瞬、目が合いそうになった気がするけど暗いので気づかれて居ないはず。
VIPまで続く廊下に来て、はぁ、と一息。
(・・・・なんだ、やっぱ女遊びするんだ。・・・そりゃあんだけカッコイイし、そうだよね)
分かっててもそれを実際に目にする事はまた違う。あの日ぶりに姿を見たのにこんな再会になるだなんて。
(・・・やっぱり、来なきゃ良かったな)
黒い感情が湧き上がってきてなんだか何も聞こえない。下心しかない目線でこちらを見る男にすらイライラする。
『・・・・・・・・・・・・私の方が、綺麗じゃん』
フロアよりは比較的静かな廊下でポツリと呟く。
そんな時に聞こえる声。
「1人でなにいってんだ?犬ガキ」