第4章 熱い身体
夢主side
広いホテルの部屋に向かい合って座る男女。といってもムードも何も無く、私はひたすらイライラしている。
『・・・もう、本当に何しにきたのアンタ。せっかく部屋移動したのに人がいたんじゃ意味ないんだけども』
クスリが抜けなくて辛いから1人で慰めにきたと、普通に考えれば分かるだろう。あのノンデリカシーで有名なゼンですらこんな事はしてこない。
おかげで疼きは止まらないし結局この男にも見られるし、最悪だ。
「お前の仕事仲間が言ってただろ?男でも用意してやるって。せっかくオレがいんのに浮気はよくねェなぁ?」
『ハァ?・・・そもそも男なんて呼ばないし、浮気とか誰目線なの。少なくともアンタよりは良いと思うんだけど』
「ホント生意気な女だなァ、可愛くおねだりも出来ねぇの」
はぁ、何言っても通じない。きっと彼には日本語が通じないのだ。
もう無視してなんとか寝るしかないと考えた私は部屋についている販売機から缶ビールを取る、いわば寝酒。
仕事中は当然、返り血が着くのですぐにシャワーも浴びたしドレスも動きやすいものに着替えた。
邪魔なのは目の前の男だけ。
「急に酒かよ。色気ねぇな、着飾ってる時のお前はあんなイイ女なのに」
『・・・うるさいな、こうでもしないと寝れないの』
平然を装う私だが、今とても心臓がバクバクである。
( ・・・・・・いま私の事をイイ女って!いや別に嬉しくないけど・・・散々言われ慣れてるしそのくらい・・・・・・)
お得意のポーカーフェイス。だが完全に振り回されている、悔しい。
私ほどの女がこんな失態を晒すだなんて。
今まで関わってこなかったタイプの男すぎて何かと上手くいかない。私の色仕掛けは通用しないし車の中では嫌いだとかうぜェとか暴言吐いてきた癖になんなんだ、この男は!
そう頭の中で愚痴を吐いてると自然とお酒を飲むペースも上がる。
じゃないと頭がどうにかなりそうなのだ。
数々の男を誘惑してきた私でも、こんな変な男向けのマニュアルなんて用意していなかった。