第4章 熱い身体
夢主side
『・・・・・・・・・え!?・・・あのっ、なっ・・・なんで 』
バタン、と部屋のドアが閉まる。
振り向くとそこにはまさかのピンク頭。
「で、何をどうしにきたんだァ、チャン?」
目の前には意地悪な笑みを浮かべたこの男。想定外すぎて戸惑う私。
逃げるにもドアは彼の後ろだ。この状況は最悪である。
『べっ・・・別に見ればわかるでしょ!なんのクスリ盛られたかくらいは!』
いつもなら男を手のひらで転がす側の私。
だからこそ男に振り回されるのは凄く嫌に感じる。特にコイツだけは。
「様子見といてやろうと思ってなァ、そんな顔でほっつき回るのもどうかと思うぜ?」
『そんな顔って、このくらい仕事ではよくある事だから普通ッ・・・・』
そう言いかけてた私の顎をグイッと彼の手が掴んだ。
「・・・ホラ、ダダ漏れだぜ?ずっと物欲しそうな顔してんじゃん、天下のハニトラ要員サン」
『なっ・・・・・・!!』
目の前にはとても綺麗な顔、口角を上げて笑みを浮かべる彼の姿はとても色っぽい。特に今日の服装がそれを際立たせている。
悔しい。こんな男に。
主に情報を吐き出させたのも私の手柄だし、ターゲットを処分したのも私。
なのにこんな身体になってるせいで目の前の男にも敵わないなんて。
『・・・・・・バカにしにきたの?本当にイヤな男。それとも弱った女が好みなのかしら』
「あ"?舐めた口きける元気はあんじゃねーか」
フハッと笑う彼はそのまま私から手を離してドカッと部屋のソファに座った。
「別にオレはなんもしねェよ?最後までエスコートしにきてやったんだから有難く思っとけ」
『・・・頼んでないし。任務も終わったし』
なんでこうも余裕そうにしているのか。
逆に腹が立つ。
こんなにも綺麗な私が発情しているのを知っても尚、平然としているこの男。本当になんなんだ。
少しはその気にならないもんなの?
もう理解ができない男に対しては諦めモード、仕方ないから私もソファに座ることにした。