第2章 chapter1 ~敵~
暫く歩くと川のせせらぎが聞こえて、川岸に座った。
レオも続いて隣に腰掛ける。
川縁ということもあってか、周りよりもいくらか涼しい。
川に浮かぶ桜を眺めているとレオが私を見てくるため、「どうかした?」と声をかけた。
[いや、サクラの髪がかなり伸びたと思ってな。]
そういえば、と髪を少し梳く。
原点であるカントーを旅している時から一回も切っていなかった。
今ではもう足の付け根あたりまで伸びているだろうか。
「にしても、この髪色のせいで色々大変な目に合ったよね…。」
街に出る旅に髪の毛バッサリ切られたし…。
[何もサクラが悪い訳じゃない。気にするな。]
そう言ってレオは私の頭に手を乗せて、慰めるように数回撫でてくれた。
「ありがと、レオ。」
レオの優しさに何だか胸がいっぱいになって、目の前が少し霞んでしまった。
[はぁ…泣く時はチャンピオンになった時だろ?]
溜息をついて呆れたように言うが、その表情はどこか優しげだった。