第2章 chapter1 ~敵~
イッシュ地方に着いた最初の夜。
空港から出て勢い良く吹いてきた風が私のピンク色の髪を揺らした。
春というだけあって桜があちこちに咲いていて、散っている花びらが月の光でキラキラと輝いている。
ふと上を見上げると丁度満月で、私は手持ちから、相棒であるルカリオのレオを繰り出した。
[サクラ、呼んだか?]
「大した用じゃないんだけどね。月、綺麗だなって。」
周りに人がいれば、怪しまれるだろうこの行動。
私は、ポケモン達と話が出来る力がある。
[そうか…ここはイッシュという所だったな。道理で暖かい訳だ。]
私の隣で、辺りを珍しそうに見回して歩くレオはリオルの頃からずっと一緒にいる家族のような存在だ。
「シンオウ寒かったもんね…。あ、シロナさんとのバトル頑張ってくれてありがとね。」
[あぁ。まぁあの位でへばってたらサクラのパートナーなんて務まらないがな。]
どうだ、と言わんばかりに胸を張って答えるレオ。
各地方でのチャンピオンとのバトルではレオをはじめとして手持ちの皆が頑張ってくれた。
フェアリータイプがあったカロス地方はかなり苦戦したけど…。
レオやリザードンのリザルデがメガシンカを使えるようになって勝つ事が出来た。
「あー、私もメガシンカしてみたいなぁ…。レオやリザルデみたいに強くてカッコ良くなりたい!」
[しなくてもサクラは十分強い。というかそもそもポケモンじゃないだろ…。]
「うぅ…ごもっともです…。」
レオはこういうとこズバッと言えるから凄いんだと思う。
その後も、桜と月を眺めながらレオと歩いていた。