第8章 気になるあの子は
ベックマン side
最近、お頭は1人の女にご執心だ。
「花子~!今日も可愛いなぁ!」
「ありがとう!シャンクスさんも格好いいよ。」
「花子~!コハクは元気か?」
「お昼に会ったじゃない。」
「花子!この後、空いてるか?」
「飲み過ぎるとまた明日に響くよ~?」
ありゃ完全に惚れてるだろ…。
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ジルさんの店で働いている花子は不思議な女だ。見た目は可愛いが今までお頭が相手にしてきた女達とは全く違う普通の女。
「くそ~!今日も躱された!」
「何でそこまで花子に構うんだ?」
「何でって、落ちねぇ女程落としたくなるだろ?」
気持ちは分からんでも無いがお頭の場合、ミイラ取りがミイラになっている気がする。
(一応、釘でも刺しとくか…。)
変に泣きつかれて船に乗せろ何て言われたら面倒だ。花子はいい奴だが俺達の邪魔をするってんなら容赦はしない。
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飲み屋の女から聞いた情報によると花子はいつもこの時間帯は入り江にいるらしい。お頭も言っていたがコハクとか言う白い鯱と遊んでいるそうだ。
「コハク~?どうしたの~?」
花子の気配を感じ様子を伺っていると白い巨体が俺の方を警戒している様に見えた。
(へぇ…なかなか良いもん出すじゃねぇか。)
微かに感じる殺気。多分あいつは俺から花子を守ろうとしてんだろうな。
「よぉ花子。そいつが噂のコハクか?」
「ベックマンさん?何で此処に?」
「お前を探してたんだ。」
きょとんと首を傾げる花子に取り敢えず上がって来いと手を差し出せば、何の疑いもなくそれを掴んだ。
「ありがとうございます。私に何か用事ですか?」
「あぁ、お前に聞きたい事があってな。」
側にある上着を手渡せばそれを羽織り腰を下ろす花子の隣に俺も座った。
「お前、お頭の事どう思ってんだ?」
「またその質問ですかぁ~?」
心底面倒臭そうな顔をする花子に俺は苦笑いを浮かべる。お頭が花子にちょっかいを掛ける様になってから、この質問はもう定番になっている。