第8章 気になるあの子は
花子 side
片付けが終わり先に上がって良いと言われたので、ありがたく私はお店を出た。賑わう町並を眺めていると目に入る1つの人影。
「よう、今終わりか?」
「シャンクスさん?」
壁に寄り掛かっていたシャンクスさんは私を見つけるとにっこりとした笑顔で近付いてきた。
「皆さんと戻ったんじゃないの?」
「そのつもりだったんだが…花子と話がしたくてな。」
「私と?」
駄目かと寂しそうな顔をされたから大丈夫だと答えると嬉しそうに破顔した。
「じゃあ、私の家近いので来ます?」
「そりゃあ、ありがてぇがジルさんに言わなくて良いのか?」
「え、何で?」
だってジルさんとこに住んでるんだろと言われ、多分私が彼の所でお世話になっている事を聞いたんだろう。
「それなら大丈夫ですよ、私一人暮らしなので。」
「…。」
「え、どう言う表情?」
初めはジルさんの所にお世話になっていたけど今は部屋を借りて暮らしている。このままいてくれて構わないと言われたけど、そこまでお世話になるのも申し訳無いからお断りした。
「…そんな簡単に男を家に上げるもんじゃ無いぞ。」
「あぁ…そう言う事ね。」
家に来るかと聞けば顔を顰めたシャンクスさんに首を傾げたけど、意外とまともな事言われて驚いた。
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あの後、適当にお店に入るとシャンクスさんの登場にお店の人は驚いて、あれよあれよとテーブルにお酒が並んだ。
「そんでよぉ~!その時ルフィの奴が。」
「何それ、痛そう~!」
お酒も入り気分良くなった私達は色んな事を話した。主にルフィ君と言う少年の話だけど、その子の話をしているシャンクスさんは凄く楽しそうにしている。
「あいつはきっと、凄ぇ海賊になるぞぉ~!」
「へぇ~、シャンクスさんよりも?」
こんな大物海賊団の船長に言われるんだもん。きっと凄い子なんだろうなぁ。
「いや、俺を越えるのはまだ早い。」
そう言ったシャンクスさんにドキッとした。自信に溢れていて、でもそれを楽しみにしている様な…そんな顔。
(ふふっ、これからが楽しみだね。)
(あぁ!だが、まだまだ俺の足元にも及ばねぇよ!)
(そう言うおじさん、嫌われるよ?)
(何をぉ~!)