第8章 気になるあの子は
シャンクス side
不思議な女に会った。少女と言うには大人びていて大人と言うには真っ白な女。
「よぉシャンクス!久し振りじゃねぇか!」
「ジルさんもお元気そうで。」
「まだまだ若ぇもんには負けねぇよ!」
久々に立ち寄った縄張の島。そこで酒場を営んでいるジルさんには若い時、随分世話になった。
「そう言やお前何処に行ってたんだ?」
「ちょっと散歩を。なぁジルさん、最近この島には人魚でもいるのか?」
「人魚ぉ~?」
ジルさんは怪訝そうな顔をしながらそんな大層なもんはいないと首を横に振る。
「人魚はいねぇが最近うちで世話している奴ならいるぞ!」
「へぇ~…ジルさんのコレか?」
「そんな訳ねぇだろう!俺はあいつ一筋だ!」
小指を立てれば馬鹿言うなとジルさんは可笑しそうに笑う。最近…そう言やあの子も最近この島に来たと言っていたな。
「今はまだいねぇがその内来るだろう。会ったらよろしくな。」
そう言って笑うジルさんの顔は柔らかくその子の事を大切にしている事がよく分かる。
「どうしたんだ?お頭。」
「人魚なんて"魚人島"以外で現れる訳ねぇだろう。」
「昨日の酒が残ってんのか~?」
肉を食いながらからかうルウに仲間達からどっと笑いが起こる。
(まぁ、すぐに会えるだろう。)
ーお兄さんは怖くないよ。ー
海賊なんてのは嫌われ者の集まりだ。なのに彼女は【海賊】では無く俺個人として見てくれた。
(どんな顔をするだろうな。)
多分、彼女は俺が"赤髪"のシャンクスだとは気付いていない。もしそうだと知ったら彼女は凄く驚くだろう。
「くっくっくっ!」
「本当にどうしたんだ?」
「ついに頭にまで酒が回ったか?」
驚く彼女の顔を思い浮かべ笑い声を上げるとベックが怪訝そうな顔をしながら煙草を蒸かす。
("赤髪"のシャンクスー?!)
(だぁ~はっはっはっ!)予想通り!
(…お頭楽しそうだな。)
(変なのに目を付けられたな、あの嬢ちゃん。)